Webプラットフォームはどこへいくのかな:母なる大地グーグル編

Webメディア

僕の仕事人生活は、SEOメディア黄金期からはじまった。 *1

氷河もほとんど残されていない就活生時代に大失敗を遂げ、
制作会社のSEOライターとして大好きなWebメディア業界に滑り込み、今はなんとかメディアのディレクターの仕事につき、2年目を迎えた *2

 

僕がWebメディアを生業にするまで

はじめはSEOコンテンツの生産に取り組んでいたけれど、今やSEOはグーグル先生の期分しだい。日々のアルゴリズムアップデートに恐々とするばかりだ。

僕のお給料推移と同じくらい、SEOメディアたちも伸び悩んでいる。
2010年代から活気を見せていたSEOメディアも、2015年頃のWelq事件を皮切りに動乱。
2020年現在では、かなり低迷気味の市場になったといえる。

 

たかだか2,3年の経験だが、ことWeb業界においてその変遷は目覚ましい。
生業となったSEO用語を覚え、IoTやVRといった言葉に慣れてきたと思ったら、OMOやD2Cといったよくわからない概念まで、僕らを嘲笑ってガニ股のダンスを踊っている。

 

Webメディアと”変態”

それもそのはず。
グーグルの変心に合わせて、Webメディアは移ろっている。

それどころか、Webプラットフォーム市場は、刻々と変化を遂げているようなのだ。

 

Webプラットフォームの大地、グーグル

グーグルは2000年代から広告事業へ力を注いできた。

初期の頃から導入していた検索語連動型のターゲティング広告(アドワーズ)に加え、広告媒体主・コンテンツサプライアーの双方に収益が出るディスプレイ型のアドネットワーク広告(アドセンス)といった事業が同社を支えている。

これらを打ち出してきた背景には、「検索から収益を生む」「検索して見つかるコンテンツを増やす」という意図が見え隠れしている。”見せ物でお金をもらう” ”見るものを増やす”と考えれば、至極納得のいくやり方だろう。

 

ことWebメディアに関していえば、後者のコンテンツを生み出す中で育ってきたところが大きい。

たんにマスメディアがWebに進出したというだけでなく、人が行き交うプラットフォームには仕事が舞い込み、広告も飛び交う。Webに根を張るメディアにとって、グーグルは母なる大地といってもいい。そりゃ母の機嫌は、僕らの食い扶持を脅かすに決まっている。

この母なる大地は、内側で大きな胎動を起こしているのかもしれない。

 

巨大プラットフォーマーYoutubeの2019年決算報告

2020年2月4日、グーグルの親会社アルファベットは前年のYoutube広告売上高を150億ドル(約1兆6000億円)と発表した。

Youtubeは2006年、一般ユーザーからは見向きもされない動画サービスベンチャーだった。当時のグーグル社は、ヤフーやマイクロソフトなど名だたる強豪に競り勝ち、16億5000万ドル(約1800億円)という異例の金額で買収。日本でニコニコ動画文化が花開いているさなかに、現代の巨大プラットフォーマーを完全子会社とした。

 

こうしてみると、あの頃の買収劇は安い買い物とさえ感じられてくる。アルファベット社によると、いまやYoutubeの月間アクティブユーザー数は20億人を超えるという。世界人口の3分の1以上が行き交う媒体は、単なる1メディアとは一線を画すプラットフォーマーと呼ぶにふさわしい。

およそ15年もの間、懐事情を明かさなかったYoutubeの決算報告は、たんに経営者の交代が理由なんだろうか。

僕たちより広大な次元で戦っている彼らは、僕らが見えていない周波数の波を掴んでいるのかもしれない。

僕らが乗れないウェーブに、彼らは澄ました顔で船を漕ぎ出しているだけかもしれない。

 

僕らのプラットフォームは、どこへ行ったのか

自らが立っていた検索エンジンというプラットフォームがなりを潜め、新たなプラットフォームが勃興する2020年。

ある人はSEOが死んだといい、ある人はYoutubeの時代だという。しかし時代のきっさきは、もっと別の次元を切り裂いているのかもしれない。

そんな時代、僕たちが次に立つべき瀬はどこにあるのか。

移ろいの激しいIT業界で、ある人は大型のメディアに、ある人はECと呼ばれる世界に身を投じていく。

僕たちのプラットフォームは、どこを目指すんだろう。

そんな疑問も合わせて、ここ最近のWebメディア業界のメタモルフォーゼを記していきたい *3 。気が向いたら連載していく。

 

 


*1 ここでいう「仕事人」は、一般に「社会人」とだいたい同じだ。
世に言う”社会人としての自覚”というロジックがなく、僕はそういう観念にあまり共感するところがないため、便宜上こう呼んでいるのである。社会に食べさせてもらっているが、こと人間のレッテルは、もっと自由でいいと思っている。

*2 僕が”Web”と書くのに特別な意味はない。ウェブメディアと書くと、Webの気取った感じが出ないからだ。Web業界はそれでいいと思っている。アジェンダをもとにMTGを開き、コンセンサスを取り付けたりして、ソリューションでも打ち出していればいい。冗談はさておき、 Webという世界観は、特別な符号であって欲しいと願っている。リアルにも既得権益にも干渉されない、フロンティア時代(1990~)への憧憬なのだ。

* 3 せっかく興が乗ったから、普段書いていないようなタッチで、言葉選びで文を綴っている。だけど「(蝶などの)変態」と書くと、なんとなくグーグル先生に怒られそうだ。だから「メタモルフォーゼ」という語に登場してもらった。グーグルの完全変態。変態グーグル。

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はらだなう

Webメディア作る人. 編集と書き物、マーケティング. 映画のブログ『週末は映画とおいしいもの。(https://nowinthemovie.com/)』を運営中. 最初はながら見して、好きな作品は何度も見るタイプ. シンゴジラ10周目.

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